今や当たり前となってしまった“派遣”というキーワード。1986年に始まった“労働者派遣法”という法律によって、“派遣社員”という雇用形態が生まれました。

 

幾度となく法改正が成され、それが今日まで至っているわけですが、色々と問題点があって、長く続けられずに辞める人が続出しているのが現状です。

 

では、その辞める理由とは何のか、また、辞めることなく健全に働いていく方法はあるのか、詳細を探ってみました。

 

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派遣は3年で離職する理由とは

雇止めに合ったから

・派遣の3年または6年ルール

派遣社員には、“3年”または“6年ルール”というのがあります。これは“改正派遣法”によって定められていることで、例外を除き、派遣社員として働ける期間は原則として“3年まで”となっています。

 

しかし、期間延長を望むことができる道も残されています。

 

その場合、本人の意志表示や過半数を超える労働組合の意見聞き取りなどを必ず経た上で、同一職場での勤務を“6年まで”延ばすことが可能です。

 

意見の聞き取りが行われない場合は、その派遣先企業での業務は3年で終わりになり、“雇止め”という形になります。

 

・雇用安定措置義務

では、3年もしくは6年で雇止めとなった場合、どうなるのでしょうか?

派遣元の企業は派遣先の企業に対して、その派遣社員を“直接雇用”として雇ってもらうよう依頼することが義務付けられています(改正派遣法・雇用安定措置)。

 

しかし、企業が直接雇用に切り替えた場合、人件費の増加(正社員なら特に)と雇用者責任が発生し、今までよりもコストが高くなるため、基本として直接雇用はしたがりません。

 

さらに、派遣会社としては別の派遣先に派遣し直して、再度3年間働いてもらう方がいいのですが、そのときに都合よく仕事があるとは限らないケースもあります。

 

このような事情が重なって、派遣先企業から直接雇用を断られ、そして派遣元企業からも新たな派遣先がないと言われた場合、“雇止め”となります。これが、“会社都合”によって離職せざるを得なくなってしまったケースです。

 

展望を感じられないから

・基本的に直接雇用はしたがらない

企業としては余程の戦力にならない限り、派遣社員を直接雇用に切り替えたがりません。それは、すでに直接雇用として雇ってある従業員(特に正社員)に、高コストな人件費がかかっているからです。

 

・人件費を安く抑えたい

高度経済成長期ほどではありませんが、大企業においては今でも“年功序列賃金”や“終身雇用制度”が維持されているところがあり、派遣社員と待遇の差を付けています。

 

正社員の場合、ボーナスや退職金、手厚い福利厚生といった特典が付いていることが多く、とにかく人件費がかかります。

 

それはつまり、外注された労働力である派遣社員、直接雇用の有期契約社員などといった、“非正規社員”の人件費を低く抑えることによって成り立っているのです。

 

・過酷になりがちな正社員業務

こう言うと正社員の立場にある従業員は恵まれているかのような印象を受けますが、現実は必ずしもそうではありません。

 

なぜなら、好待遇の恩恵を受ける反面、正社員にはサービス残業・長時間労働といったことに甘んじざるを得ない状況が発生する傾向にあるからです。

 

それは正社員の好待遇を維持するために、新たな基幹社員の採用を抑制し、それが原因で慢性的な“人手不足”から起きている現象です。

 

このような事情で、正社員になりたいと思っていてもなかなかなれない面と、正社員になりたくない、だからといって派遣社員でもいたくないので、辞職してしまう現状があるのです。

 

仕事が面白くないから

もう一つの理由として、“やりがいが少ない”ことがあげられます。現在においては、製造現場である工場作業のように、仕事の分業化と単純化が極度に進んだ分野にまで、労働者派遣は解禁されています。

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初めのうちは、ごく一部の限られた専門的な“スペシャリスト”が派遣という形で働いていましたが、今では違います。

 

多くが“単純労働力”として使われるようになった派遣社員には、スキルアップの機会がなかなか得られず、その多くが“やりがい”というものから取り残されている現状があります。

 

このように、派遣社員を取り巻く環境は厳しい傾向にあり、それが離職理由に結び付いていることが分かります。

 

正社員以外に抜け道や例外もある?

派遣元企業に相談してみる

・派遣の約8割は有期契約

人件費を抑えたい企業側が求める“派遣”という働き方のほとんどは、期間制限の付いた働き方ということになります。一番いいのは、派遣先の企業において“正社員”として登用してもらうのがベストに決まっています。

 

派遣される形で働いているとはいえ、派遣社員にとってはその派遣先企業の職場において、長年の間、慣れ親しんできたという現実があります。

 

実際に、数々のアンケート調査からも、派遣先企業での“直接雇用”を望む声が、派遣社員全体の過半数を占めています。

 

・“派遣元”へ無期限雇用への転換を要請

しかし、これまで見てきたように、派遣先への直接雇用を実現できる派遣社員は、そうそういません。そうかといって、新たな派遣先に派遣されてしまえば、また3年間、同じようなことの“繰り返し”になってしまいます。

 

ではどうするのがいいのでしょうか?

 

それは、自分が今まさに所属している“派遣元の会社”に対して、期間制限の付いていない雇用形態に転換してもらえないか、聞いてみるということです。

 

どういうことかといいますと、派遣会社自体に勤める常勤の社員になるということです。派遣会社の仕事は、派遣会の取引先企業に派遣されて働くだけではありません。

 

そうした自社の派遣社員を社用車で職場まで送迎したり、派遣先との交渉や労務管理をしたりといった、その他の業務も存在するのです。これも、そのときに席が空いているか、本人の能力はどうかなど、色々と条件がありますので、上手く行かないこともあります。

 

雇用安定化措置を使う

・派遣法の雇用安定措置

改正派遣法には派遣会社がするべきことを定めた、“雇用安定措置”という項目があります。

 

これは、全く同じ組織において、1年以上も継続的に派遣する可能性があるとき、派遣社員として働く労働者に、雇用を続けて確保するために動く必要性があるというものです。

 

前述した派遣先企業への直接雇用切り替えの依頼、新しい派遣先を確保すること、派遣元企業での無期限雇用に転換するなど、これらの他にも存在します。

 

・有給での教育や訓練

まず、新しく勤務できる場所を確保できるまで、“有給”にてスキルを高めるための教育や訓練を行う、というものです。

 

“有給”で行う、ということがポイントです。

 

・紹介予定派遣制度

そして、派遣先企業が直接雇用することを前向きに検討することを前提に契約を結ぶ、“紹介予定派遣”というものがあります。

 

この制度を使えば、最長で6か月間、派遣社員として働くことになります。

 

6か月以内に派遣先企業の仕事と、自分の能力や意志がマッチングするかどうかを見極めて、問題なければその企業に直接雇ってもらえる制度になります。

 

派遣社員でいる間は“見極める”ための期間であって、割り切って働くことができます。

 

法律をよく知ることが大事

派遣業者によっては、上記のように法律で決まっていることを守っていないケースがあります。

 

最新の派遣法を確認し、法律の知識を身に付け、正しく運用されているかどうか、チェックを行えるだけの能力を保持することが大事になります。

 

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